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初めてこのゲームに出会ったとき、非常に衝撃を受けた。
ただ面白いだけではなく、近年のゲームに見られなかった”新しさ”を含んでいたからだ。
このゲームの何が新しく、何が面白いのか、
それを書き表すのに散々悩み苦しんできたが、ようやく整理がついてきたので、
見苦しい過去の文章は水に流して、全面改訂を行なうことにした。
(このレビューは第3版のレビューである。)


RAY-KUDRYAVKA X』(レイ・クドリャフカ・ゼクス。略称RKX)は、
同人ゲームサークルしろくま屋が製作した、フリーウェアの2Dシューティングゲームである。
ボタンを7つも使用する操作系統や、360度の全方位戦闘を始め、
従来の2Dシューティングとは一線を課すシステムを満載している。


RAY-KUDRYAVKA Xの肝は「間合い」と「弾幕否定」にある。
従来の、主に弾幕系と呼ばれる2Dシューティングゲームでは、
敵も自機も画面の端のほうで、お互い湯水のように弾を打ち合うというスタイルになっているが、
RKXは真っ向からここを切り開いている。

自機であるクドリャフカは、
・威力はかなり低いが、遠距離戦やザコ掃射に役立つショット
・中距離用(調整可能)で、画面外や高度の違う敵を狙えるレイ
・近距離専用、高火力のブレード
と、明確に距離分けされた3種類の基本兵装を搭載している。
この3種類の武器をうまく使い分けて初めて、敵に”効果的な”ダメージを与えることができる。

更に、リロードの存在が自機の「弾幕否定」に拍車をかける。
各武器に残弾数が設定されていて、弾切れを起こしたら再装填をしなければならない。
このリロードシステムによって、従来のシューティングのようにひたすら弾を撃ち続けることは不可能となる。
各武器が近/中/遠それぞれの距離をフォローし合うように設定されているため、
どれか1つでも弾切れを起こすと、途端に攻撃力が低下して辛い状況に追い込まれる。
リロードのアクション自体にもスキがあるため、その間に追い詰められることもある。


また、#400系から加わった360度全方位戦闘も「間合い」と「弾幕否定」をより強く印象付ける。
自機にも敵にも攻撃の死角となる部分(主にキャラクターの背後)ができたことで、
そこに回り込んでしまえばあらゆる攻撃が意味をなさなくなってしまうのである。
先ほど述べた3種類の攻撃の使い分けとあわせて、自機と敵との位置関係の重要性が極めて高い。

余談だが、この「間合い」の概念はFPSよりも『アーマードコア』(FROM SOFTWARE)や、
『バルドヘッド』シリーズ(戯画)などのロボットアクションゲームにおいてよく見られる要素だと考えている。
RKXはロボットアクションゲーム的なシューティングゲームと言えるだろう。


RKXにおいては、今までのシューティングゲームのように
「ショットボタンを押しっぱなしにして、あとはレバー操作に集中」というのは通用しない。
脳味噌と指先をフル回転させなければ、まともに戦うことはできないのだ。
それがまたRKXの抱えている”難易度の高さ”でもあるが、
平凡な弾幕シューティングから一歩も二歩も飛躍することに成功している。


そして「弾幕否定」において最も重要なのがノックバックシステムの存在である。
ノックバックが起こる条件は、
・ブレードによる打撃
・集中ロックオンレイ(敵1体に8本全てのレイをロックオンする)
・ディスラプター(ゲージ消費攻撃)
の3つ。
不思議な事に、ここにも近/中/遠の「間合い」の概念が生まれているが、
プレイ中は主にブレードによるノックバックを利用することになる。
ノックバックが起こると、敵は若干吹き飛ばされ、攻撃が中断される。

ノックバックの重要な特性はこの「敵の攻撃を中断させる」ことにある。
これにより近年のシューティングゲームのような”弾幕”は完全に否定されている。
たとえ緻密な弾幕攻撃が来てもノックバックを発生させることによって、
その弾幕の型を崩すことができるからだ。
また、ノックバック中にノックバック属性のある攻撃を与えればさらにノックバックが生まれる。
上手くやれば、集中ロックオンレイ>ダッシュ(接近)>ブレード×2>ディスラプターという
全く敵に手出しをさせない、烈火のごときコンビネーションを決めることができるわけである。

たとえ自機の攻撃によって敵を破壊することが出来なくても、攻撃を中断させることができるというのは、
敵に接近しなければいけないという重大なデメリットを抱えている接近攻撃に意味を与えている。
格闘ゲームにおける「ダウンを奪える攻撃」に近いものがあるといえるだろう。
攻撃こそが最大の防御となりうるのである。


数多くのシステムを投入しているRAY-KUDRYAVKA Xではあるが、その内の多くは借り物だ。
360度回転は『ロストワールド』(カプコン)や『ゼロガンナー2』(彩京)から、
ロックオンレイはその名の通り『レイフォース』シリーズ(タイトー)から拝借していたりする。
弾薬のリロードもFPSやガンシューティングでは標準的なものだ。
(これを2Dのシューティングに持ち込んで、しかも成功させているというのは評価に値するが)
ブレードの原型は『レイディアントシルバーガン』(トレジャー)のソードである。


が、真にRKXをRKXたらしめている部分はこのノックバックシステムに他ならない。


ただ撃つだけでは倒せない、ただ避けるだけでは生き残れない。
攻めることが避けることに繋がる。避けることが攻めることに繋がる。正に攻防一体の戦闘。
それこそがRAY-KUDRYAVKA Xの魅力であり、RAY-KUDRYAVKA Xの切り開いた全く新しい面白さである。

RKXというシューティングゲームは”変わらない面白さ”ではなく、
シューティングゲームの進化を、”新しい面白さ”を私に示して見せた。


残念な点としては、こういったシステムや自機のスペックに対して、
敵キャラクター(=開発者側)が追いついて行けなかったということだろう。

言いかえれば、システムを生かした、またはそれを封じる敵の挙動というのが無いのである。
例えば、別高度や画面フィールド外からの”ノックバックで無効化できない攻撃”を織り交ぜたり、
”近/遠距離攻撃の片方に特化した敵(弱点は逆)”や”自分の背後にも攻撃できる敵”、
”自機の背後に回りこもうとする敵”などが居てもいいのではないか、と思う。
とは言うものの、現状でも充分面白く、不満というほど声を荒げるものではない。


が、これが理由となって、2003年10月にRAY-KUDRYAVKA Xは開発凍結するという悲しい事態が起きた。


RAY-KUDRYAVKA Xの開発が凍結された後、
完全に弾幕系の縦スクロールシューティングに移行したheXa(ヘキサ)
FPSとして開発が進められているixTL(イクストル)
2つに分家して、それぞれ独自の道を進んでいる。
レイクドリャフカ?に関しては色々な意味でノーコメントとさせていただく。)

しかし、片方はゼクスが必死になって否定しようとした弾幕シューティングであり、
また片方は状況確認できる範囲が大きく限られ、そのため飛び道具中心で
格闘戦の表現がほとんどできないFPSである。
どちらにもゼクスの示した「間合い」と「弾幕否定」は存在しない。
何より私には、この2つのクドリャフカの分家に
ゼクスに感じた”新しさ”を感じることができない。


だから私は、RAY-KUDRYAVKA Xが復活することを待ち望んでいる。
遠いお星さまになってしまったクドリャフカが、帰ってくる日を。



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