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このゲームの第一印象は、『サンダーフォース』と『レイ=クドリャフカ ゼクス』のエッセンスだった。
そしてそれは、さほど間違いでは無かったように思う。


スグリ』は、
同人ゲームサークル橙汁が製作した、ハイスピードシューティングゲームだ。
Windows用。各種同人ショップなどで入手できる。


地球と言う星はボロボロだった。
何度も何度も繰り返された戦争で、人も地球もボロボロになった。

ほんの僅か、生き残った人達は地球を捨てた。
宛ても無いのに空へと飛んだ。

ほんの僅か、地球に残った人は、地球の手当てを始めた。
もうボロボロで、人の手なんかに負えないのに。

人の手では、地球はどうにもならない。
だから人は、とんでもない時間をかけて
地球をどうにかできる「ひと」を造った。
とんでもない時間をかけて、たった一人。

たった一人の「ひと」は、スグリと呼ばれた。


『スグリ』の魅力のひとつとして、その一貫した世界観が挙げられる。
SFを予感させるバックグラウンドストーリー、可愛らしいキャラクター、透明感のあるサウンド、
全てが高いレベルで融合している。
また、詳しくは書かないが、終盤の演出は特筆に価する。

この辺りは、百聞は一見に然り、と言うことで
試しに公式サイトからオープニングムービーをダウンロードして観るのが、
『スグリ』の世界の一端を掴むには最適かと思う。

また、公式サイトからは体験版もダウンロードできる。


しかし、『スグリ』は決して人に薦めることのできるゲームではない。
あまりにも難しすぎるからだ。

しかも、その難しさは「敵弾が多い」「敵の耐久力が高い」等の”単純な”難しさではない。

『スグリ』の難しさは、その独特なシステムからくる立ち回りの難しさにある。
以下に『スグリ』を彩る代表的なシステムについて触れる。



・ダッシュ
「ダッシュ」は高速で移動可能な上に、ビーム系(半透明な弾)の攻撃を無効化することが可能。
しかもダッシュ中に発生するリングに敵弾をくぐらせれば、
無敵技である「ハイパーアタック」で使用するゲージを溜めることができる。

このダッシュを駆使すれば、たとえ敵弾が回避不能なほど画面中を覆ったとしても
縦横無尽に潜りぬけることができる。
このダイナミックな動きによる回避は、
近年主流となっている、僅かな敵弾の隙間を縫っていく避けには無い爽快感がある。

ダッシュの使用にはリスクも存在する。
ミサイルなどの実体弾は食らってしまう上に
ダッシュをすると「ヒート値」が上昇し、受けるダメージ量が増えてしまう。
ヒート値が上がりきった状態でダメージを食らうと致命打になりかねないため、
ダッシュの止め時にも注意しなければならない。


・ロックオン
『スグリ』では、ロックオンにより敵を捕捉して攻撃する。

このロックオンの存在はつまるところ「自分が一度に倒せる敵は基本的に1機だけ」であることを意味する。
一般的なシューティングゲームのように、
画面を覆うワイドショットやレーザーの垂れ流しで雑魚がバンバン破壊できるなどということはない。
1機を仕留め損ねれば、必然的に敵に囲まれる展開が待っている。

ボタン操作で、ロックする敵を切り替えたりロックを解除することも可能だが、
そのような操作をしている余裕は、はっきり言うと無い。


・武器の硬直とキャンセル
『スグリ』では、多種多様な武器のうち2種類を選んで使用することができる。
しかし、それらの武器ほぼ全てにおいて、発射時と発射後に硬直があり、
射撃時は立ち止まることになる。
当然だが、その間に被弾しやすくなってしまう。

ただし、武器の硬直モーションを、格闘ゲームさながらに、
もう片方の武器かダッシュでキャンセルすることができる。



上記のような一癖もふた癖もあるシステムを前提として更に、
敵の攻撃自体も高速で飛来するものが多く、最初のステージから攻撃は熾烈だ。

これを相手にするのはかなり骨が折れる。
何しろ自機すら満足に動かせないまま、情け容赦無しに蹂躙されてしまう。

しかし、何度も何度も何度も挑戦し、

敵をテンポ良く確実に撃破していくために
敵の出現パターンや攻撃への対処、位置取りを学び、

ステージ構成や自分の手癖に合う武器の組み合わせを探し、

操作に癖のあるダッシュを小刻みにすることで制御し、

攻撃モーションに対して常にキャンセルを掛けて隙を減らすようにし、

『スグリ』のゲーム空間にある要素ひとつひとつを、握り締めたコントローラから確実に掴み取り、
自分の物にできるようになってくると、
非常にケレン味のあるバトルを繰り広げることができる。


その時置かれている状況を瞬時に把握し、
高速飛翔で砲火を縫い、敵に対して優位なポジションを取る。
確実に敵を葬る、研ぎ澄まされた射撃。
攻撃の隙を狙って放たれたミサイルを弾幕を放ち迎撃。
追撃のビームが放たれるのを見切り再度の飛翔で突破、
敵の至近距離に潜り込んでの零距離攻撃、
そして高速離脱。

一撃必殺にして縦横無尽。
迷い無き太刀筋のごとく空を切る戦闘機動は、あまりにも鮮烈


其処に、物語を超えた”世界”を見た。


こんなものを見せ付けられて虜に為らない理由が、私には見つからない。


いま一度言おう。

『スグリ』は、あまりにも難しいゲームだ。難しすぎて人に薦めることはできない。
筆者も、2時間かけてステージ1つクリアできないなんて事はザラにある。
そのぐらい難しい。


だが、プレイを重ね、自らの感覚を研ぎ澄まし、

敵を知り、己を御する技を身に付けたその時、

そこから見える世界が、確かにある。


其処に在る世界を感じ取った時、

稲妻より速く、舞えるか。

それが問われる。



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